「三池 終わらない炭鉱の物語」

某さんの今年のベストだと聞いていた。再々演をやっていて一万人を突破しそうだとか。ふーんと思いつつ、映画はそんなに好きじゃないと言うか、何度も上映中、腕時計を見る結果になってしまう。で、あまり期待しないで行ったら非常に良かった。特に昔の映像に引き込まれた。立派な作品で見るべきなのは分かるけどどうにも見ていると気が重くなる、目を背けたくなる的な作品じゃないかと危惧していた。が、悲惨な事実は描いてもあるが、根底に生の肯定があるように感じた。特におばちゃんが強いねえ。あと、方言が私の場合、ネイティブに近く分かるのもポイント高かったかも。

「早稲田文学 vol.7」

巻頭(あるいは巻末?)坪内祐三×重松清の雑誌話が濃くて良いなあ。もっと頁数が欲しいぐらい。「情報」の担い手としての雑誌がネットに変わった後で、坪内さんは「感情」じゃあないか、「ざわつき」みたいなもの、が雑誌に残る、と言っている。「ざわつき」と言うのが分かる。私の言葉だと「ざらっとした感じ」が雑誌には必要だと思うから。そういえば、「卓球王国1月号」の表紙と「ペンホルダーは死なず」というタイトルに卓球部所属の隠せない過去を持つ身としては「ざわつき」を感じたけど、坪内さんの言う意味とは違う……。

『世界がどんなになろうとも役立つ心のキーワード』 香山リカ

★★★★★★★★☆☆ (晶文社)2002
テレビ番組の収録で「おとなになってよかった、と思うのはどんなとき?」と言う司会者の質問に「マンガ読み放題、ゲームし放題」と著者は答えた。次の参加者は「やっぱり夫に出会って子どもができたこと、自分の家族を持てることですね」と答えて、他の全員が賛成を表明。ここの反論を受け付けない部分に疑問を感じる香山リカに私も近いかも。それにしても、大人になった方が幸せなのは事実だろうなあ。10年前よりはかなり楽だもの。